大変おトクな制度である
個人型確定拠出年金(iDeCo/ イデコ)。
ただし、ちょっと注意しないといけないのが
60歳を迎えて年金資金を「受け取るとき」です。
こういう大切なこと、書いてあるから、といって
誰も教えてくれないんですよね。特に契約時と
受け取り時が時間的に大きく経過している
こういう商品は本当に、注意が必要です。
下手したら、自分が損していることにすら
気づいていない可能性があります。
基本的にiDeCoは払ったときに節税効果があり、
受け取るときに税金が掛かる仕組みだからです。
ただし、受け取るときも節税になる
「退職所得控除」と「公的年金控除」を
受けられますから
それをうまく活用する必要があるのです。
iDeCoのトリセツ後篇では
iDeCo(イデコ)の受取りについて
パターン別に解説していきます。
この記事を読むと次のことがわかります:
・iDeCoの受取り方の3パターン
・①老齢一時金として一括で受け取る
・②老齢年金として分割で受け取る
・③老齢一時金と老齢年金の併用
になります。
ここが前篇でもふれた、
税の「むごい」仕打ち対策になります。
https://sabailifebagus.net/ideco-1/
具体的に説明しますので、
目を皿にしてくださいね。
iDeCoの受取り方は3パターン
個人型確定拠出年金であるiDeCoは
原則として通算加入者等期間が
10年以上あれば60歳になると
それまでに積立てて運用した資産を
受け取ることができるようになります。
iDeCoの受取りは、
比較的自由度が高くなっているため、
いろいろできてしまうため、税金を
余計に献上する受け取り方が
いくらでもできてしまいます。
この受取金のことを
「老齢給付金」といいます。
老齢給付金の受取り方は
主に3パターンあります。
○老齢一時金:
一時金として一括で受け取る
○老齢年金:
5から20年以下の有期年金として分割で受け取る
○併用:
老齢一時金と老齢年金を併用する
①老齢一時金として一括で受け取る
まずは最も一般的な方法で、
一括で受け取る「老齢一時金」です。
これは運用益も含めた
運用した資産を一括で受け取る方法です。
この受け取った資産は退職所得の扱いとなります。
そのため「退職所得控除」の対象となるのです。
退職所得の計算は退職金の税金計算と一緒で
以下の通りとなります。
退職所得金額×所得税率=所得税額
つまり、
[keikou]退職所得控除額からはみ出た額については、半分が課税対象となるってこと[/keikou]
ですね。
逆に言えば退職所得控除額内であれば非課税ということです。
退職所得控除額の計算
勤続年数(=A) | 退職所得控除額 |
---|---|
20年以下 | 40万円✕A(80万円に満たない場合には、80万円) |
20年超 | 800万円+70万円✕(Aー20年) |
退職所得控除額は上記の計算式で決まります。
実際の例で解説していきます。
ちなみにiDeCoの場合の勤続年数は
加入年数になります。
つまり、早く加入すればするほど
控除も大きくなるということです。
30年掛けた方の例
iDeCoを30年掛けた場合で考えて見ましょう。
退職所得控除の額の計算は
800+70万円×(30-20)で1,500万円となります。
つまり、30年で積立てた金額(運用益も含め)が
1,500万円以内ならば非課税ですから
退職所得控除の枠内で収まるならば
一時金でもらうのがおトクです。
では1,500万円を超えてしまっていたら
どうなるのでしょうか?
2,000万円だった場合
積立てた金額(運用益も含め)が
2,000万円だった場合、
(収入金額- 退職所得控除額) × 1/2
= 退職所得金額
の式にあてはめると
(2,000万円-1,500万円)× 1 /2 ですから
250万円分に対して税金が掛かることになります。
仮に税率20%の人ならば、250万の20%ですから
50万円の税金。かなり大きい失血です。
会社から退職金が出る場合は要注意
・会社員で会社から退職金が出る場合や
・企業年金の一時金がもらえる場合や、
・自営業者で小規模企業共済に加入している方
は要注意です。このケースの方が多いと思います。
[keikou]iDeCoと退職所得控除の枠をシェアすることになってしまう[/keikou]のです。
なお、iDeCoと勤務期間の重複期間がある場合には
iDeCoの加入年数と会社の勤務期間の
長い方で控除を計算します。
例えば30年会社に勤めた方は前述と
同様に1,500万円の控除枠があります。
もし、会社から1,500万円退職金がもらえるとすると、
すでに退職所得控除枠はありませんので
iDeCo分については半分に税金がかかってくる
ことになってしまうのです。
これば、大事故です。
何も知らないとこれをやってしまいます。
この場合は税金面でかなり損をしてしまうことになりますので、
他の受け取り方法を選択しましょう。
受取時期をずらす方法も
iDeCoの大きなメリットが払ったときの節税効果ですが、
受け取るときに税金を払っていたらその分で
メリットが低減してしまいますね。
特に退職金が出る会社員の方は死活問題となります。
「むごい」仕打ち税金をガッツリ献上することになる、
大事故のパターンです。
そこで「むごい」仕打ちには、
それにフェイントをかける裏技があるのです。
それは退職金などとiDeCoの受け取る時期をズラすという手法です。
ここは大事なので、もう一回いいます。
[keikou]退職金などとiDeCoの受け取る時期をズラす[/keikou]のです。
そうすることで退職金とiDeCoの両方で、
退職金控除を使って受け取ることが可能となります。
こんなこと知ってたら、簡単ですが、
知らなかったら、税の投網にからめとられます。
税は息をひそめて待ち伏せしているのです。
使える条件は以下のとおりです。
もう少し分かりやすく説明しましょう。
iDeCoを先に受取、あとから退職金をもらう場合
先にiDeCoを受取りあとから退職金をもらう場合は
手法1(標準手法)に該当します。
この場合には最後に受け取ったものから
5年以降ならば再度退職金控除を使えます。
例えば
①60歳でまず、iDeCoを受取り、
②会社の退職金の受取は65歳
ならば両方の制度で退職金控除が利用可能です。
パーフェクトです。
これは自営業者の小規模企業共済も同様です。
もし、どうしても会社の退職金が5年以降よりも
早くに支給されてしまう場合は手法1(標準手法)は機能しません。
退職金の受取が先で後からiDeCoを受け取る場合
退職金よりもiDeCoを後で受け取る場合には、
手法2:最後に受け取った退職一時金等から
15年以降ならば再度退職金控除を使えます。
手法2は15年も空けないといけないんですね。
こんなのレアケースですよね。
ほとんどの場合はiDeCo分を先に受け取る
手法1(標準手法)をまず、トライすべきです。
②老齢年金として分割で受け取る
次は老齢年金として分割で受け取る場合です。
この受け取った資産は年金所得の扱いであるため、
「公的年金等控除」の対象となります。
こちらも他の厚生年金や国民年金など
他の年金と合算で計算されます。
合算して
65歳未満の場合、年金が年間70万円未満ならば非課税。
65歳以上の場合、年金が年間120万円未満ならば非課税。
これを超える場合には税金が発生します。
それを少しでも緩和するためには、
年金を使う場合には厚生年金や国民年金を
繰り下げしてしまうのも一つでしょう。
例えば
①iDeCoについては60歳から受取り
②公的年金を繰り下げて終わってから
厚生年金や国民年金の受給開始
繰り下げしなくても
①60歳から65歳までiDeCo。
②それ以降について厚生年金や国民年金
という手もあります。
また、公的年金等控除については
縮小がすでに決定されていますし、
今後も下がる可能性が大いにあります
ので注意が必要です。
手数料の存在
老齢年金は5年以上20年以下で任意の期間
受け取ることが出来ます。
受取回数も年1回から12回まで
自由に選ぶことが出来ます。
ただし、こちらの受け取り方法には
税金以外にも少々デメリットがあるんですね。
それは手数料です。
受取1回に付き手数料が「400円+消費税」が掛かるのです。
これはどの金融機関でも共通です。
例えば20年間12回払いならば手数料だけで
96,000円掛かる計算となります。
かなり大きいですね・・・継続的失血ですね
また、運営管理機関によっては
金融機関への手数料が毎月発生してきます。
このあたりを考えると
[keikou]年金はあまりオススメできない受け取り方[/keikou]です。
もし、やる場合の対策としては、
手法:年金で受け取る場合には
極力振込回数を減らすこと
③老齢一時金と老齢年金の併用
もう一つの選択肢は
老齢一時金と老齢年金の併用です。
今まで見てきたように
[keikou]基本的に非課税内で収まるならば、手数料などを考えると老齢一時金の方が有利です。[/keikou]なので、
①非課税内の限度額いっぱいは老齢一時金で受取り、
②課税されてしまう分についてのみ老齢年金を使う
というハイブリッドな手法があります。
ただし、この手法が使えるの証券会社は
マネックス証券、楽天証券、SBI証券の3社だけになります。
まとめ
・知らないと大損:iDeCoの受け取り方と3通り:その注意点と対策
①老齢一時金として一括で受け取る(もっとも一般的)
②老齢年金として分割で受け取る
「公的年金等控除」の対象となり、他の年金と合算:
(手数料問題もあり、厚生年金や国民年金を繰り下げできない場合はオススメできない)
どうしても、これをやる場合は、送金回数最小化すること。
③老齢一時金と老齢年金の併用
手法としては
①非課税内の限度額いっぱいは老齢一時金で受取り⇒
②課税されてしまう分についてのみ老齢年金を使う
のハイブリッド。
ただし、この併用方式というの手法が使えるの証券会社は
マネックス証券、楽天証券、SBI証券の3社だけになります。
iDeCoは「60歳の自分に向かって、毎月、仕送りをする」
、もう一つの年金,みたいなものではないでしょうか。
後篇のお話はこれでおしまいです。
前篇も見て内容をよく復習してくださいね。
親の仕送りは1円でも粗末にしてはいけません。
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